ビールの歴史と豆知識

ビールの歴史と豆知識

毎日飲む人も多い「生ビール」ですが、そもそも「生」どういう意味か知っていますか? ビールは身近なお酒の一つですが、ビールの歴史やその定義など、意外と知らないこともあるのではないでしょうか。
今回はビールについて知識を深め、よりおいしくいただけるようになりましょう!

ビールの歴史

ビールの起源

ビールの歴史も、ワインなどと同様に大変古く、紀元前4000年あたりまで遡ると言われています。
人類最初の文明は、シュメール文明という説がありますが、そこではすでにビールが飲まれていたという記録が残っています。
楔文字の記録によると、当時のビールの製法は、パンを焼き上げ、このパンを砕いて水を加え、自然に発酵させるという方法だったようです。

エジプトの方でもビールは広く流通していましたが、ギリシャやローマではワインが主役となっていました。
これは、気候の関係で麦類の生育が上手く生育できなかったことに対し、ブドウは生育が良かったので、ワインの製造に力を入れていたことが伺えます。

ホップについて

ビールには欠かせないホップですが、これはいつから使われるようになったのでしょうか。

詳しい時期は不明のようですが、紀元前1000年ころ、メソポタミア近くにあるコーカサスの民族にビールの作り方が伝わったことがきっかけと言われています。

コーカサスではホップが野生しており、ビールに入れてみたところ味が飛躍的に上昇したので、この辺りの時期からビールにホップを入れるようになったようです。

中世ビール

中世では、ビールは単なる飲み物としてではなく、栄養が取れる食事として重宝されていました。
そのため、ヨーロッパの方でもビールは人気になっており、庶民までビールの文化は浸透していました。

しかし、ビールの製造は、農民が大麦を収穫し、権力ある教会や修道院がビールの製造をしていました。

これは、清潔な水を飲むことがまだ難しく、ペストやコレラが生水から感染することを知った聖人たちが、一度煮沸をしてから醸造するビールの方が、生水と比べて安全な飲み物だと勧めていったためだと言われています。

こうした背景から、ヨーロッパの教会や修道院でビールの製造が盛んに行われていきました。

近世ビール

15世紀に入ってくると、新しく「ラガービール」の製造が行われるようになりました。
今までは、冬は温度が低すぎて発酵が上手くいかなかった為、製造の時期が限られていました。
そのため、常温で短時間発酵を行う「エールビール」に変わって
、低温で長時間発酵させる「ラガービール」の登場によって、冬でも安定して製造できるようになりました。

しかし、ラガーが世界に普及した後も、イギリスやベルギーなどのヨーロッパではエールが好まれていました。
のどごしがすっきりしていて、ゴクゴク飲めるラガーに対し、エールは芳醇で濃厚な味わいと飲み応えがあるためビールに幅が生まれ、その後様々な種類のビールがされるようになっていきました。

日本でビールが入ってきたのは、実はこの辺りです。この頃日本は江戸時代初期で、まだ鎖国する前だったため、ポルトガルやスペインの船が寄港しており、その際に伝わってきたとされています。

その後、蘭学者がオランダ人から醸造方法を教わり、ビールの製造を始めたことが、日本ビールの始まりとされています。

 

ビールの種類

ビールは発酵の違いにより、「エールビール」と「ラガービール」の2種類に分けられます。
その中でも、「ビアスタイル」と呼ばれるビールの区分があり、原材料や酵母、発祥地などによって100以上に分類されています。
よく見る「ピルスナー」や「IPA」といった種類はこのビアスタイルの一つのことです。

エールビール

エールビールは、エール酵母を用いた製法で、発酵させると酵母が麦汁の表面に浮き上がっていくため、「上面発酵」と呼びます。
15〜16℃のやや高温で発酵させ、発酵期間は3〜4日、その後は約2週間熟成させるのが特徴です。

芳醇な香りと味が特徴で、ベルギーなどでは人気です。

ビアスタイル:ペールエール、ヴァイツェン、IPAなど

ラガービール

ラガービールは、現在では主流となっている製法で、ラガー酵母を用いた製法です。
5℃前後の低温で発酵させ、酵母がタンクの底に沈んでいくため「下面発酵」と呼びます。
発酵期間は7〜10日で、約1か月間ゆっくり熟成させるのが特徴です。

ごくごくとのど越しで味わうことができ、日本ではこちらが主流になっています。

ビアスタイル:ピルスナー、シュバルツ、ボックなど

 

クラフトビール

クラフトビール(地ビール)は、大きな工場で作られたビールではなく、地方の小さな工房で作られたビールのことを言います。

クラフトビールは種類が豊富で様々な味が楽しめるので、2000年代から日本でも流行していきました。

最近では、飲み比べができる店ができたりと身近でも楽しめるようになってきました。

生ビールとは?

生ビールの「生」は製造工程で熱処理を加えていないという意味です。

現在では、製造方法も整っており、熱処理を加えなくても安全にビールを作ることができるようになりました。

そのため、生ビールはお店で出てくるビールだけでなく、普段飲んでいるビールすべてに当てはまります。

日本の一般常識では、樽生から注いだビールという意味になっており、少し違う認識が定着しているんですね。

熱処理したビールも販売しており、「サッポロラガー」や「キリンクラシックラガー」などが当てはまります。
熱処理したビールの味は、少し重く香ばい印象になります。

発泡酒と第三のビール?

日本では「ビール」や「発泡酒」、最近では「第三のビール」なども登場し、何が違うのかわからないという方のために整理してみました。

ビールの定義は、

  • アルコール度数が20度未満
  • 麦芽比率が全体の50%以上
  • それ以外の原料が麦芽の重量の5%の範囲内
のものとされています。

この定義から外れたものが「発泡酒」や「第三のビール」に分類されます。

発泡酒の定義は、

  • 麦芽比率が全体の50%未満
  • 副原料を麦芽の5%以上使用
  • ビールに認められない副原料を使用
  • 麦芽を使わず麦を使ったもの

が発泡酒とされています。

第三のビールの定義は、

  • ホップを使用した発泡酒に麦由来の蒸留酒、スピリッツや焼酎などのアルコールを混ぜ合わせたもの
  • 麦や麦芽を使用していないもの(大豆やトウモロコシを使用)

とされています。

そのため、現在では発泡酒の基準のものは8種類ほどしかなく、実はほとんどが第三のビールに含まれています。

ビールがたくさん飲める秘密

ビールならいくらでも飲める!という方は結構いらっしゃると思いますが、水をいくらでも飲めるという方はあまりいらしゃらないのではないでしょうか。

この違いは何なのでしょうか?

水は、胃に溜まってもほとんど吸収されないため、腸へ流れるまで残ってしまいます。そのため、すぐ飲めなくなってしまうのです。

一方、ビールはアルコールが含まれているため、胃でアルコールと水分も一緒に吸収していきます。

そのため、水に比べてビールは胃に溜まりづらく、たくさんの量を飲むことができると言われています。

さらに、ビールにはケルシトリンという利尿作用の成分が含まれており、アルコールの利尿作用と併せて、トイレに行きたくなる頻度が高くなります。

水分吸収が速いことと排尿により、何杯も飲めてしまうんですね。

まとめ

ビールの歴史や種類、スタイルの違いなどビールに関する豆知識をお伝えしました。

自分が今飲んでいるビールはどんなビールなのか、など考えながら飲むとより一層ビール美味しく感じられるのではないでしょうか。

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