ワインは果実の香りや酸味、醸造する樽の香り、原料が栽培された土地の香りなどが組み合わさっており、酸化によって香りや味が大きく変わってしまうため、大変繊細な飲み物です。
そんなワインのおいしい飲み方をご紹介いたします。
ワインはグラスから
丸かったり細かったりとさまざまな形のワイングラスですが、実はワイングラスの形状にはしっかりとした理由があります。
赤ワインはグラス内の酸化で、次々に変わる香りを楽しむことができます。そのため、飲み口が小さくボウル(ワインが入る部分)が広い形になっていて、香りを逃がさない構造になっています。
また、ワインと空気の接地面が広くなっているので、酸化しやすい構造になっているのも特徴です。
そのため、ワインを注ぐ量の目安としては、グラスのボウルで一番膨らんでいる部分の少し下くらいがベストだと言われています。
白ワインはタンニンを含まないなど、赤ワインに比べ酸化を楽しむ要素は少なくなっています。
そのため、白ワインのグラスは温度を重要視しており、体温が伝わらないようステム(細い脚の部分)が長く設計されています。
スパークリングワインのグラスは細長い形をしていますが、これは中央から立つ泡をより綺麗に楽しむためであったり、香りを楽しみやすいといった意図があります。
理想の温度
ワインには、それぞれ美味しさや魅力を最大限に楽しむことができる温度があります。
赤ワイン
赤ワインは基本的に常温が良いとされています。
しかし、赤ワインにも種類がありますし、常温と言っても季節によってだいぶ変わってしまいますので、それぞれ種類に合った温度で保存してください。
フルボディ
- フルボディはワインのしっかりとした渋味が強く、香りや味わいがしっかり感じられるのが特長です。
- フルボディの赤ワインは、16℃〜18℃くらいが適温とされており、18℃くらいで保存しておくと渋味が抑えられるので、まろやかな味わいになります。
- 冷やしすぎると渋味が強くなり、とげとげしい感じになります。飲むときは適温になるように調整した方がいいでしょう。
ミディアムボディ
- フルボディとライトボディの中間で、果実の風味とタンニンのほどよい渋みを味わえる赤ワインです。
- ミディアムボディは、フルボディとライトボディの中間の特徴を持っているため、適した温度も中間ということで13℃〜15℃くらいが適温とされています。
- ライトボディよりしっかりした味わいが欲しいが、フルボディよりは軽い口当たりが好みという方におすすめです。
ライトボディ
- ライトボディは渋味が少なく口当たりが軽いため、赤ワイン初心者という方でも飲みやすいワインです。
- ライトボディは、少し冷やした10℃〜12℃くらいが適温とされています。
- 冷やすと渋味が増す特徴を生かし、渋みと軽さをほどよく味わえる温度です。
白ワイン
白ワインは渋味があまり感じられないため、冷やした方が良いとされています。
白ワインは辛口と甘口の2種類に分けることができます。
辛口
- 辛口の白ワインは、糖分のほとんどがアルコールに変化しているため、甘味が少なく、酸味が強く感じられる味わいが特長です。
- 辛口の白ワインは、7℃〜14℃くらいが味も引き締まり適温とされています。
- 冷やし過ぎるとワインの香りも酸味も感じにくくなってしまうため、冷やし過ぎには注意しましょう。
甘口
- 甘口のワインは糖分を多く残した状態で発酵を止める方法で造られるため、穏やかな甘味と酸味を味わえます。
- 甘口の白ワインは、5℃〜8℃くらいに冷やすとスッキリした味わいになります。
- 甘味は温度が高いほど強く感じられるようになるため、甘口のものほどしっかり冷やした方が、スッキリとした味わいが楽しめるでしょう。
スパークリングワイン
- スパークリングワインは炭酸を楽しむことができるワインですが、冷やしておかないとが炭酸が抜けやすく、ワインの香りと風味も落ちてしまいます。
- スパークリングワインでは、甘口は4℃、辛口は6~8℃くらいが適温とされています。
- 氷水なら20分〜30分、冷蔵庫なら4時間〜5時間ほど冷やすと適温になるので、しっかりと冷やしてからいただきましょう。
ワインテイスティング
ワインを美味しくいただくためには、ワインのテイスティングを行いワインを評価しましょう。
ワインテイスティングの基本は「色合い」、「香り」、「味わい」の3つがあります。
~色合い~
まずは、ワインの色合いを観察しましょう。
グラスを照明などの方へ向け、赤ワインは傾けてワインとグラスが接している辺り観察しましょう。白ワインはグラスを傾けずに真横から観察しましょう。
観察する点は色の濃さはどうか、濁っていないかなどです。
長年熟成された赤ワインになると、ビンの底に澱(おり)と呼ばれるものが溜まるときがあります。
この澱は色素やタンニンの成分が固まったもので、口に含むと渋みを感じますが、健康上は問題ありません。
色の濃さは、ワインの熟成度の確認を見ることができます。
熟成を進めると、オレンジやレンガのような褐色が増えていき、最終的にはウイスキーのような琥珀色になります。
これは白ワインでも同様で、熟成が進むと琥珀色になっていきます。
澄んでいるワインほど高品質と言えるため、いただくワインの色合いを確認し澄んでいるかを観察してみましょう。
~香り~
香りは2回嗅いでみることをオススメします。
ワインを注いだときに立ち込める香りはアロマ(果実香)と呼ばれるもので、
アロマで果実の香りがしっかりと感じられるものは高品質なワインと言えます。
アロマを味わった後、グラスを回してワインに空気を触れさせる「スワリング」を行います。
ワインは空気に触れることによって酸化が進み香りが変わっていくため、スワリングをした後のタイミングでもう1度香りを嗅ぎましょう。
ここで感じられる香りをブーケ(熟成香)と呼びます。
香りは長く嗅いでいると鼻が麻痺してしまい香りが分からなくなるので注意してください。
香りを味わいながら、フルーツの香りなのか、それ以外の香りなのか、どんな表現があっているかなど考えるのもワインの楽しみの一つだと思います。
~味わい~
ワインの味わいを確かめるときは口に少量含み、舌全体を使って味わいましょう。
味わうポイントは「甘味」、「酸味」、「渋味」、「アルコール」です。
それぞれがはっきりしていて、バランスが取れているほど高品質なワインと言えます。
じっくり口の中で転がすように味わうことで、味わいと香りを楽しむことができ、一層ワインを楽しむことができます。
まとめ
現在は様々な国のワインを手軽に手に入れることができます。
国や年度、種類ごとに味わいや香りの異なるワインは、目や鼻、口などの感覚を楽しませてくれます。
同じワインは2つと無いので、その時々の出会いに感謝し、しっかりと味わってみてください。