味の基本要素である「甘味」、「酸味」、「苦み」、「塩味」、「うま味」のうち「うま味」だけよくわからないという方は多いです。
この謎の多い「うま味」を理解することで味の幅がさらに広がり、食を楽しむことができるようになるので、今回は「うま味」について考えていきましょう。
うま味とは?
実は「うま味」という成分は、約100年前に日本人によって発見された比較的新しい成分です。
初めて見つかった「うま味」は、昆布を使用したダシの中で見つかり、アミノ酸の1つである「グルタミン酸」を抽出することで「うま味」の判明に至りました。
他にも、核酸系の「イノシン酸」や「グアニル酸」も「うま味」成分であると判明していきました。
これらの成分は様々な食材に含まれています。
グルタミン酸
- 昆布
- チーズ
- 白菜
- トマト
- アスパラ
- ブロッコリー
- 醤油 など
イノシン酸
- 鶏肉
- 牛肉
- 豚肉
- 鰹節 など
グアニル酸
- 椎茸
- 海苔
- マッシュルーム など
主にこれらの中に含まれていて、うま味を最大限に引き出すには食材の特性を知っていなければなりません。
例えば、「干し椎茸は冷水で戻す」であったり、「海苔は少し炙る」といったことですね。
うま味の特徴としては
口全体に味が広がり、味の持続性があること、唾液の分泌が増えることなどがうま味の特徴と言われています。
では、この「うま味」はどこで感じることができるのでしょうか?
うま味はどこで感じるの?
ヒトの舌の表面をよく観察してみると、乳頭という組織がまばらに存在しています。
この乳頭の中に、味を感知する「味蕾」という器官があります。
味蕾は、花のつぼみのような形の器官で、味蕾を構成している細胞(味細胞)には甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の各物質を受け取る受容体があります。
味細胞の受容体がうま味物質であるグルタミン酸などを受け取ると、その情報が味覚神経を通して脳に伝わり、うま味という味が認知されます。
しかし、最近の研究では舌だけでなく胃でも受容体が存在することが判明しました。
胃で受け取ったうま味をもとに、脳から胃へタンパク質吸収を促す信号が送られるため、うま味は美味しさを感じるだけでなく、消化に関しても関わりがある成分であることが分かりました。
そのため、うま味は消化に関する重要な成分なのではないかという研究が行われているようです。
うま味の相乗効果
うま味は、他の成分と相乗効果を発揮することができる、ということが分かっています。
そのため、グルタミン酸の白菜やイノシン酸の豚肉などを合わせた寄せ鍋のようなものでは、より一層うま味を感じることができます。
皆さんも、もしかしたら思い当たる味があるのではないでしょうか。
まとめ
味の5大要素の中でも1番感じにくい「うま味」ですが、食事を楽しむうえで重要な成分であることが分かりました。
しかし、うま味を抽出するには、通常の料理にさらに手間を加えなければなりません。
そのため、手軽にうま味を加えることができる「うま味調味料」というものが開発されました。
このうま味調味料を活かして、食事を楽しんでみてください。