今やどこのお店にも設置してある「除菌アルコール」ですが、アルコールをかけると微生物だけ除菌出来て、皮膚には無害なのはなぜでしょうか?
今回は、アルコールで除菌する仕組みを見ていきましょう。
アルコールは本当に除菌するのか?
アルコール消毒の仕組み
アルコール(エタノール)は、分子構造から浸透圧によって細胞膜を透過することができます。
また、40%以上の濃度になってくると、たんぱく質と親和性を持つようになるので「たんぱく質変性」というものを起こすようになります。
これにより細胞膜に穴が開くので、細胞内の物質が流れ出し死滅するのです。
全ての微生物を除菌できると考えられていますが、エタノール濃度や微生物の構造によっては死滅しないものもあります。
有名なものだと、ノロウイルスはエタノールが効きにくいということが知られています。
これは、ノロウイルスの構造が外部に殻のようなものを持っている為です。
他にも「A型肝炎ウイルス」や「ロタウイルス」と言われるものは、エタノール抵抗性が高いと言われているので、エタノールも万能ではないということです。
エタノールの濃度
一般的に、エタノールの濃度は60~80%程が微生物に対して効果を及ぼすと言われており、その中でも75%が最も効きやすいと言われています。
100%が一番効くのではないかと思われる方も多いと思いますが、100%だとすぐに揮発してしまい、たんぱく質変性の反応の前に無くなってしまいます。
また、濃度を低くしても細胞膜に入っていかなくなるので、60%~80%が一番バランスが取れた濃度だと言われています。
なぜ人に効果は無いのか
エタノールは細胞膜を透過して細胞に穴をあけるという話がありましたが、人間の細胞はなぜ無事なのでしょうか。
これは、単細胞生物と多細胞生物の違いにあります。
微生物などの単細胞生物は、穴が開くと致命傷になってしまうのですが、
人は多細胞生物なので、少しの細胞が死んでしまっても、全く問題ないのですね。
そのため、エタノールを使用すると皮膚細胞は少しだけ死んでしまっているのですね。
また、手の脂をすべて洗い流してしまうと、手のバリア機能が低下するので、手荒れの原因になってしまうので、注意が必要です。
まとめ
今回は消毒についてご紹介いたしました。
手のこまめなエタノール除菌は重要ですが、やり過ぎてしまうと手荒れやアトピーの原因になってしまうので、注意が必要です。
こまめにエタノールで除菌し、ハンドクリーム等で保湿を行っていきましょう!